2020年の商用化に向け次世代通信規格「第5世代(5G)」商戦が活発になってきた。
三菱電機は9月4日、通信速度を大幅に高める専用デバイスを発表した。
NECや富士通など関連企業にも商機が広がるが、主戦場の基地局では世界首位の華為技術(ファーウェイ)など中国勢が立ちはだかる。
さらにサーバーを活用してコストを下げる新興勢力も急浮上するなど、通信インフラ市場はかつてない大競争時代に突入しようとしている。
下図は2017年度の 世界の携帯基地局のシェアを表している。
三菱電機が4日に発表したのは、5Gの基地局間で大量のデータをやりとりするために使う光通信デバイス。電気信号を光信号にかえることで5G時代に求められる高速・大容量に対応し、消費電力を4割削減した。
市場規模26兆円
世界で20年ごろから商用化が始まる5Gは、現行の「4G」の100倍の実効速度を実現するほか、通信の遅れも現行の携帯電話の10分の1となる。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」社会の基盤になるとも期待されている。
5Gは通信機器メーカーにとって、久々の大型商戦だ。 世界の5Gへのシフトに伴い23年に無線の基地局だけで4兆1880億円、端末など関連機器は26兆1400億円もの市場が生まれると予測されている。
主戦場となる基地局では、現在はファーウェイとスウェーデン・エリクソン、フィンランド・ノキアの通信機器大手3社が世界シェアの8割を握るなど寡占が進む。
なかでも勢いがあるのが中国勢だ。2017年の世界の基地局市場でシェアを伸ばしたのは首位に躍り出たファーウェイと同4位の中興通訊(ZTE)の2社。
競合相手と比べて圧倒的に安いといわれるコスト競争力を武器に、新興国はもちろん先進国でもシェアを拡大してきた。
ただ足元では貿易摩擦の影響や「サイバー安全保障」などの問題で中国勢が失速する可能性も出てきている。オーストラリア政府は8月末、ファーウェイとZTEの中国通信機器の2大メーカーに対して、同国への5G参入禁止を決定した。中国メーカーを経由して重要情報が漏洩することを危惧してだ。
日本の通信機器メーカーには「漁夫の利」ともなりうるが、一方で技術革新により新たな競争相手も浮上している。
楽天が採用か
「楽天が新興の基地局メーカーを採用したのではないか」。
8月上旬、通信業界の関係者の間でこのような情報が飛び交った。楽天は「採用したメーカー名は公表しない」とするものの関係者によると楽天はノキアに加えて、米アルティオスター・ネットワークスという企業をパートナーに選んだもようだ。
アルティオスターは11年設立の新興企業。日本では無名だが、基地局のあり方を変える存在として世界で徐々に存在感を高めている。
携帯電話の基地局には大きく分けて2つの機能がある。無線信号の処理と、無線信号の送受信だ。2つの機能はこれまで同じメーカーの機器で統一する必要があった。それに対しアルティオスターは一般的なサーバーを使って信号を処理する仕組みを構築。専用設備を使わずにすむため基地局のコスト削減につながる。
楽天はNTTドコモやKDDIなど携帯大手3社と比べて大幅に安い6000億円を下回る金額で全国をカバーするネットワークを作るとしている。その背景にはこのような新興企業の技術の採用があるようだ。
この分野にはアルティオスターのほか、米マベニア・システムズやイスラエルのASOCSなど、続々と新興企業が参入している。アルティオスターは韓国の携帯大手SKテレコムと基地局を一般的なサーバーで動作させる実証実験を進めるなど、世界市場で実績を積みつつある。
飛ぶ鳥を落とす勢いだったファーウェイですら新興企業から追われる立場となりつつある。さらに厳しい日本勢も自動運転やIoTなどのサービスと組み合わせるなど、戦略の転換が求められる。
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